ムーチーは、ほんのり甘く素朴な味わい
今回は沖縄で最も人気のある冬の伝統行事「ムーチー」のお話です。鬼を退治して邪気を払うというのが、「節分」にも似ています。その行事の内容やナイチャーである私の失敗談、由来となった民話などをご紹介しています。
沖縄で人気の行事
サンニンの葉にくるまれて、蒸す前の状態
冬になると沖縄ではムーチー(鬼餅)という行事が行われます。
「この冬も風邪をひかないで健康に過ごせますように」という願いを込めて、ムーチーを作って食べるんだと聞いていました。
保育園でもこの行事が毎年組み込まれていて、 季節になると「サンニンの葉を1人8枚持ってきてください」 などとお願いされるそうです。
餅粉に黒糖や紅芋などで味を付け、水でこねてから香り高いサンニンの葉で包み、蒸し上げるという簡単な料理なので、子どもたちも楽しそうに お餅をコネコネしている様子がテレビで紹介されたりします。
サンニンの葉と花=月桃(ショウガ科の植物)=カーサとも言う。
↓特につぼみが可愛らしくモモに似ているので月桃という名前が付いたそうですが、乙女のおっぱいの様にも見えませんか?
今年もムーチーをいただいた
季節になるとムーチーの材料が店頭に並びます。
出来たものが売っていると、辺り一面サンニンの爽やかな香りがします。
(※この香りが嫌いな人もいる)
子どものいる家庭を中心にたくさんムーチーを作ってご近所に配るのが通例だそうで、毎年のように我が家にも届きます。
だから私たちナイチャーにとっては「幸せのお裾分け」をいただけるというわけです。
ムーチーでバチ当り
沖縄に来たばかりのころ、ムーチーの日に近所の方からカーサムーチーを いただきました。
さっそくサンニンの葉を開けてみると薄紫色のお餅が出てきました。
「ややっ、これは…」と思ったのは、このムーチーがあまりにも舌にそっくりだったからです。
色といい、形といい、作り立てのなめらかに伸びる感じといい、これは妖怪傘小僧の舌ですよ。
サンニンの葉からお餅をはがして舌の上に載せてみたらすごくおもしろかったのです。 息子と一緒に悪のりして記念写真を撮りました。
↑写真はもう無いのでイラスト。歯でムーチーをくわえている。
そして後日やめとけば良いのに、いただいた方に写真を見せました。
すると「ああ~、ハハハ」と言葉なく笑い…、 でも目は笑ってませんでした。
毎年ムーチーの季節に思い出す
そりゃそうですよ。
あとから知ったのですが、ムーチーとは沖縄の年中行事の一つで、家内安全や健康祈願、 特に子どもの健やかな成長を願うために作られるお菓子のことなのです。
旧暦の12月8日にたくさん作って仏壇やヒヌカン(火の神=カマド)にお供えしてから 子どもは歳の数だけ食べるのが習わしだそうです。
蒸した残り汁は厄よけとして庭にまくこともあるようです。
鬼を追い払う鬼餅(ムーチー)なので、2月3日の節分の行事にも似てますよね。
このような伝統的かつ、県民魂のこもった行事のお供え物でふざけたりしてごめんなさい。 ここでひとこと謝っておきたかったのです。もう時効かもしれないけれど。
ムーチーの由来となった民話
この記事を書くに当り情報を調べていたら、「ムーチー伝説が凄い」というような記事が目立つので読んでみたら本当に凄いのです。
【鬼餅伝説】※省略してあります。
むかし首里の金城(首里城近く)に両親を亡くした兄妹が住んでいました。
妹が嫁ぐと兄は孤独のあまり鬼と化し、村人を捕まえて食べるようになってしまいました。
その噂を知った妹は、自分の子どもを連れて様子を見に行ってみました。
すると鬼になった兄が人を鍋で煮ているではありませんか!
妹は「兄さんは本当に鬼になってしまったのだ」と悲しみました。
しかし妹は自分の子どもも危ないと思い、急いで家へ帰りました。
妹は考えた末、兄の好きなムーチーを作り持って行くことにしました。
兄のムーチーには鉄の塊を入れてあるのです。
妹が兄の家へ行き、「兄さん、金城の崖に行って食べようよ」と兄を誘い出しました。 兄が鉄の入ったムーチーを食べるのに苦労をしていたら、 妹が着物の裾をまくり上げて、下の口が見えるようにしました。
「お前の血を吐いている下の口は何なのだ?」と兄が聞くので、妹が「上の口はムーチーを食べる口、そして下の口は鬼を食べるための口だ!」と言うと、兄が怯んだスキに崖から突き落としたのです。
村人は鬼を退治してくれた妹に感謝し、皆で喜びました。
だからこのお餅は「鬼餅(ムーチー)」と呼ばれるようになったんだとさ。
ーおわりー
凄まじいですねー。 悲しくて怖いお話ですね。
ネット界隈には、「エロい」とか「お下劣」とか書かれていますが、 私はむしろ沖縄の女性の「強さ」や「賢さ」を 感じますが、あなたはどうでしょうか。
この伝説について詳しく掘り下げた記事がたくさん書かれているので興味がある方は「ムーチー由来」で検索してみてください。